「コイズミ化」するオバマ
米国内では、Obama政権の経済政策に対する厳しい批判が絶えず繰り返されている。
だが日本から見る米国経済は、株価上昇という窓口からの風景に単純化され、順調な景気回復というメロディで統一されている。それは、
小泉政権における構造改革が日本経済に輝きをもたらした、との瞬間的な幻想に近いのかもしれない。
当時も株式は一時的に上昇したが、その後に待ち受けていたのは、低成長とデフレの再来であった。
米国の「日本化」が様々な側面で観測されていることは、既に何度か報じてきた。Krugman教授が、FRB議長を「Bernanke-San」と
呼ぶようになって久しい。米経済を日本化させたのは日銀批判を繰り返していたFRBそのものだ、という指摘は少なくないが、
服部茂幸はその日本化は2000年代の住宅バブルから始まっていた、と指摘する。
バブル処理には金融緩和で、というFRB独特の理論と政策こそが日本化を招いたのである。
Obama大統領は、再び金融不安を起こしかねないFRBの緩和策に依存しながらも、減税継続という財政出動とTPPという新手の
輸出振興策を持ち出して、経済再建に立ち向かおうとしている。
巨額の景気対策や公的資金投入でも苦境が打開出来なかった小渕政権の後を継ぎ、減税継続や量的緩和、そして円安誘導によって
マイナス成長を脱した小泉政権。
同政権誕生時に14,000円近辺にあった日経平均は、2003年4月に8,000円を割れた後、退陣直前には18,000円近くまで値を戻している。
だが経済実態としての名目GDPは殆ど拡大しておらず、株価は「小泉劇場」に浮かれたミニ・バブルでしかなかった。
増税なき財政再建にも失敗し、半導体や液晶パネル、太陽電池といった重要産業でも世界シェアを落としていった。
現在のObama政権にその映像が重なって見える。
では米国の日本化は、経済低迷を通じて世界に「失われた10年」をもたらすのか。赤木昭夫は1929年と2008年の相似性を
深く分析すべきだと述べ、危機が終了したとの観測は早過ぎると警告する。
更に米国主流の「動力学的確率的一般均衡論(DSGE)モデル」をZombie Economicsと呼び、米国は経済学でも危機に陥っている
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